青い海と空のみちのく八戸から・波動はるかに 第2回 東・南・西・北

 さて、北の街八戸は平野と言える。ある時、知人に自身が所有している山に行こうと誘われた。30分ほど走って「さあ到着だ」と言われても辺りは灌木の林にしか過ぎない。(どこに山があるのだ?)近場の一番高い山は階上岳の約500メートルという、知人の山はたぶん100メートル程度であろう。南アルプス赤石山系の南端ではあるが、私の生まれ育った地は山峡の最も低いところでもおよそ標高300メートルあって、さらに北方に向かうと、峠一つ越えるごとに次第に谷が細くなって両側に山が険しく迫る。“山”というものはそういうところをいうもの(と思う)。

 平野には方向を定められず蛇行する河川しかない。多分に河川の流れに支配される道路建設も直線を取りにくい。従って、東西に走る道路・鉄道も育つことなく、加えて環状線もない。ランドマークとしての身近な山もない。再び私は迷子になったようだ。

 しかし、こんな裏切られる感覚もまた考えようだが新しく愉快で楽しい。いつの間にか後期高齢を過ぎ、あえて新しい生活地をえらんだ私の発見、違和感を含めた印象をこれからもお伝えいきたいと思う。
とりあえずは、雀荘でも覗いてトンナンシャーペイ感覚の錆を落としに行こう…かな。

上斗米治史 (ペンネーム;小出治史)
静岡市浜松天竜区出身。静岡市、横浜市でポーラ化粧品研究所員、七宝制作、保険代理店経営。日本パントマイム研究所研修生時、大野一雄、土方巽に傾倒。佐々木満、辻征信と3人で舞踏カンパニー「黒馬団」活動ほか。写真家土田ヒロミ氏、七宝家土田善太郎氏、画家佐藤泰生氏と長年交友。川崎のシニア野球3チーム時代二刀流で活躍。2023年12月より青森県八戸市移住。八戸市でもシニア野球2チームに加入、始動。2024年春より多文化・多世代・多言語交流館「みらいえchez Kamitomai」ギャラリー館長。八戸市鴎盟大学入学48期生。著書;「六月の田園」2008年マンマル社刊。

(モルゲンWEB2024)

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